宮津線 由良川橋梁
FFU合成まくらぎ 現場レポート#07
積水化学が1980年にFFU合成まくらぎを開発し、おかげさまで45年が経ちました。
日本全国の鉄道路線でご採用をいただいている長寿命化や保線業務の省力化に欠かせない合成まくらぎについて、
WILLER TRAINS様(京都丹後鉄道様)にお話を伺いました。
Introduction
京都駅から特急に揺られて北へ向かう事、約2時間。
日本海に面する京都府北部に位置する「海の京都」と称されるエリアを代表する観光都市である宮津駅に到着します。
その途中駅である福知山からは、宮津駅へと繋がる京都丹後鉄道の「宮福線」をWILLER TRAINS株式会社が運行しています。また、宮津駅から「宮津線」を西へ向かえば、日本三景で名高い「天橋立」を経由し、兵庫県の豊岡駅に至ります。
宮津駅から東側に向かえば、映える撮影ポイントとして全国のフォトグラファーが訪れる「由良川橋梁(由良川の鉄橋)」を渡り、西舞鶴駅まで足を運ぶことができます。
そんな有名スポットが目白押しのエリアに架かる橋梁の橋まくらぎに、積水化学製のエスロンネオランバーFFU合成まくらぎをご採用されたと伺い、ご担当者様にインタビューをさせていただきました。
インタビュー : 2025年9月10日
(中央)工務部 施設係 谷口様
(右)工務部 部長 多賀野様
Guest
工務部
部長 多賀野 様
助役 内海 様
施設係 谷口 様
Interview
海の京都に架かる橋梁の維持管理
- ———まず始めに、WILLER TRAINS様についてお教えください
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多賀野様:当社は2014年7月に設立され、その翌年の2015年4月よりWILLER TRAINS株式会社として、京都丹後鉄道の運行を開始しました。京都府北部、宮津市の宮津駅から、福知山市にある福知山駅を結ぶ「宮福線」と、舞鶴市の西舞鶴駅から宮津駅を経由して、兵庫県豊岡市の豊岡駅までを結ぶ「宮津線」の2路線を運行しています。
内海様:宮津線については、西舞鶴駅から宮津駅までの区間は「宮舞線(みやまいせん)」、宮津駅から豊岡駅までの区間は「宮豊線(みやとよせん)」という愛称が付いており、親しまれております。

多賀野様:路線の歴史を振り返ると、宮津線と宮福線ではたどってきた経緯が異なります。
宮津線の方が古く、1924(大正13)年に舞鶴駅(現在の西舞鶴駅)〜宮津駅間が開通し、1932(昭和7)年には舞鶴〜豊岡間が全通しました。その後、1980(昭和55)年に制定された「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)」に基づき、特定地方交通線として廃止対象に指定されました。
一方、宮福線は1988(昭和63)年開業と、比較的新しい路線です。もともとは日本鉄道建設公団により建設が進められていましたが、先ほど触れた宮津線の指定と同じ1980年に、工事が凍結されました。
工務部 部長
多賀野 正義 様そこで、第三セクター方式の会社として宮福鉄道が設立され、宮津線と宮福線を引き継ぐことになりました。宮福鉄道はその後、1990(平成2)年に北近畿タンゴ鉄道へと社名を変更し、既に完成していた宮福線と、国鉄から組織転換されたJRより引き継いだ宮津線の2路線を運営することになりました。
さらに、2015年に北近畿タンゴ鉄道が上下分離方式を導入するにあたり、土地や線路などの鉄道施設を保有・管理する「下」部分は引き続き北近畿タンゴ鉄道が担い、新たに列車の運行に専念する「上」部分の会社が公募されました。その結果、弊社WILLER TRAINSを採択いただき、現在の運行体制が構築されました。
- ———その様な歴史があったのですね。続いて皆様のご担当をお教えください
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多賀野様:工務部長として線路にかかわる工事や、施設の契約関係を担当しています。業務としては、施設関係が主で、電気については部長補佐がみています。線路などの保守検査などについては内海助役など、現場の担当が行ってくれていますので、皆の取り纏め役を担っています。
内海様:私は現場での検査や線路の保守点検などを行っています。現場担当の作業計画などを立てて、工事を実施しています。費用の関係は多賀野部長に決めて貰っています。
工務部 施設課 助役
内海 亮介 様谷口様:多賀野部長が纏めた工事の書類や、内海助役から上がってきた現場からの報告書を元に、業者さんと折衝する窓口を担当しています。積水化学さんとも、まくらぎについて色々と相談させていただきました。
工務部 施設課 施設係
谷口 緒美 様
- ———ありがとうございます。続いて枕木について教えていただけますか。
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多賀野様:宮津線では約12万本の枕木を使用しています。宮福線が約5万本なので、合計すると17万本くらいになりますね。これは地方鉄道という括りの鉄道会社では、かなり多い数字だと思います。
内海様:枕木材質の割合としては、宮津線では古い木枕木がほとんどで、PCまくらぎが約20%、一部橋梁に合成まくらぎを使用しています。お話しした通り宮福線は新しい路線ですので、こちらは開業当初からほぼPCまくらぎが使用されています。
多賀野様:宮津線で使われている木枕木については、毎年1,200本程度をPCまくらぎに交換する計画を立てています。他社さんでは枕木の劣化による脱線事故も発生していますので基盤の整備は重要です。まだ木枕木が10万本弱、残っていますので、すぐに全交換とはいかないですね。優先としては、カーブ半径(R)が300や400と比較的急曲線の場所から優先的に取り替える様にしています。やはり列車の遠心力が掛かって、軌間も広がりやすくなってしまう箇所ですので。また、当路線には93の橋梁があるのですが、その全ての橋梁で、橋まくらぎを積水化学さんのFFU合成まくらぎに交換する計画を2018年から進めており、2025年9月現在では、うち73橋梁が交換済となっています。
谷口様:当社路線の中で一番長い由良川橋梁は来年度にFFU合成まくらぎに交換する予定です。この橋梁は1924(大正13年)に由良川の河口近くに架けられました。長さが約551メートルもありますので枕木の使用本数も相当に多く、1,050本くらい交換する必要があります。積水化学さんと納期などの調整を行いながら、しっかりと進めていきたいと考えています。
多賀野様:積水化学さんへの発注に際し、まずは、現在使用している枕木について、1本1本の寸法を測定して図面化する必要があるのですが、これが大変で・・・
この測定は業者さんに委託するのですが、流石にこれだけの数があると測定のミスも全く無しとはいかないのです。合成木材なので、穴あけなど現場で調整が出来る範囲での対応はしますが、やはり交換の頻度は少ないほうが良いです。これは枕木の交換だけでなく、橋梁の塗装工事にも言えることなのですが、作業の為の足場を組んで、安全にも配慮する必要がありますので、各所の調整が欠かせません。谷口様:私は運転関係の調整も担当していますので、作業者が線路内で作業する際のダイヤの作成や、線路内で作業する際の手続きも行っています。ただこの由良川橋梁の工事は2~3ヶ月くらい掛かりそうですが、国土交通省が定めている出水期、一般的には梅雨や台風が多い6月~10月頃の事を指しますが、この期間は原則として河川工事が禁止されているのです。ですので、この期間を避けての工事計画となります。
内海様:現場としましても、交換の回数はもちろん少ない方が望ましいですね。いざ枕木を交換するという場合、終電後に安全に配慮して工事を開始し、始発までに完全に撤収しなくてはならない。そうすると、一晩で交換できるのは20本・・・はちょっと無理ですね。出来て15本くらいかと思います。そういう意味でも交換の回数が減らせる長寿命の合成まくらぎは魅力的ですが、実際の寿命はどれくらいなのでしょうか?
積水化学:鉄道総研様にて、新幹線の実軌道では推定耐用年数は50年以上という評価をいただいております。ただ、在来線の橋梁などでは、凹みなどの状態の変化により耐用年数に影響がありますことをご案内させていただいております。
- ———合成木材は、橋梁の橋まくらぎ以外でもお使いなのでしょうか?
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内海様:橋梁以外ですと、分岐器がありますね。これも従来は木まくらぎを使用していましたが、古くなっているところから合成まくらぎに置き換えています。2024年度だけで12箇所の分岐器で交換していて、1箇所につき25本ほどの枕木を使用していますから、300本くらいはFFU合成まくらぎ化しています。
分岐器に使用するまくらぎは長さが一定ではなく、また場所によってレールを締結する位置が異なるためPCまくらぎでは対応が難しく、加工がしやすい合成まくらぎが適しているんです。
久美浜駅構内の分岐器を
FFU合成まくらぎ化
- ———合成まくらぎへの交換には、各種の補助金は適用されるのでしょうか?
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多賀野様:補助金の申請等は、鉄道施設や車両を保有する北近畿タンゴ鉄道が行っていますが、合成まくらぎへの交換にも補助金が活用されています。設備投資の設計及び施工管理等を弊社(WILLER TRAINS)に委託いただいておりますので、弊社の人員にて施設・車両の整備や安全性の向上をはかるべく実地調査を行い報告書を提出し、それを基に工事が計画されます。その提案の中には長寿命化がみこめる、合成まくらぎも含まれていますよ。
国、京都府、兵庫県、沿線自治体からの支援を戴きながら、限られた費用で修繕費をやりくりながら、地域のみなさまの日常の移動手段として、安全運行に努めております。ただ学生さんは年々、減ってきておりますので少し寂しい所ではありますが。
- ———観光客は増えておられますか?
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多賀野様:おかげさまで、コロナ前とほぼほぼ同等の水準までお客様にお越しいただいております。以前はアジアのお客様が多かったのですが、最近は特に欧米のお客様が増えている印象ですね。やはり皆さん、日本三景である「天橋立」に立ち寄られて、その後は豊岡から城崎温泉へ向かわれるお客様も多いですね。
弊社としては、安全・安心で質の高い輸送サービスを向上し観光需要にこたえるべく現在、丹後くろまつ号(レストラン列車)、丹後あかまつ号(カフェ列車)、丹後あおまつ号(観光列車)を運行しております。また向こう10年で、新しい車両を導入する計画を立てておりますので、是非みなさまに、丹後地域に足を運んでいただければ嬉しいです。
———本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。今後もご期待に応える製品づくりに励んでまいります
FFU合成まくらぎ 現場レポートマップ
Products
今回ご紹介させていただいた製品
ガラス長繊維強化プラスチック発泡体
エスロンネオランバーFFU
製品解説———
エスロンネオランバーFFUは、硬質ウレタン樹脂発泡体をガラス長繊維で強化した合成木材です。天然木材に代わる素材としてあらゆる分野で使用可能。自然環境保護に役立つ素材として注目されています。

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1.天然木材のように

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2.プラスチックだから

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1.水処理施設に

覆蓋
耐久性に優れ、水に浮く軽さを持ち、万一落下した場合も回収が容易です。長期使用品のリユースが可能でライフサイクルコスト削減にも貢献します。
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2.港湾施設に

浮桟橋
耐水性・耐食性に優れ防腐処理の必要が無く、水質に影響を及ぼさないため環境に配慮した設計が可能です。
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3.鉄道施設に

合成まくらぎ
コンクリートと同等の品質安定と耐久性能をあわせ持ちながら木材のように施工でき、鉄道会社各社に採用されています。
これ以降は会員の方のみご利用いただけます
会員登録済みの方
未登録の方






—— 京都丹後鉄道に乗ろう! ——
日本三景とは江戸時代のはじめ、全国を行脚した儒学者、林春斎が著書「日本国事跡考」にて、卓越した三つの景観を記したことが始まりとされています。宮城県の松島と、広島県の宮島(厳島)、そして京都府の天橋立です。
この天橋立の周辺には、海水浴やカニ料理で有名な網野、舟屋で有名な伊根、記事中にも紹介されました、海を渡る鉄道橋である由良川の鉄橋など観光スポットが多く、「海の京都」と称されるエリアです。
そんな人気エリアを運行される京都丹後鉄道さんで、沿線上の直径114キロを大きな"カフェ"に見立てて提供される珈琲が絶品です!観光列車内でもいただけますし、お土産としてお家で飲めば、香りと共に楽しかった旅の思い出が浮かび上がってきますよ。
乗り鉄さんは、ぜひJR東海さんから譲渡されましたキハ85改めKTR8500形の車両にも乗ってみてくださいね。運行予定日は京都丹後鉄道さんのWEBサイトに掲載されていますのでチェックしてからお出かけください!