気候と労務環境の変化から考える、これからの雨水排水設計
このページでは、ゲリラ豪雨などの社会的課題から、最適な雨水排水設計を行うポイントについて解説します。お急ぎの方は、以下よりお問い合わせいただくことも可能です。

1. 雨水排水設計を取り巻く社会的課題
ゲリラ豪雨の激甚化
近年、日本では集中豪雨の発生が顕著に増加しています。実際に、1976年以降のデータをもとにした調査では、過去45年間で集中豪雨の発生頻度が約2.2倍に増加したことが報告されています。特に梅雨期では、その増加率がより高く、7月の集中豪雨事例は過去に比べて約3.8倍にまで跳ね上がっているとの分析もあります。
(引用元:気象庁気象研究所『集中豪雨の発生頻度がこの45年間で増加している~特に梅雨期で増加傾向が顕著~』)
また、最新の気候変動に関する国の報告書でも、「日本国内における極端な大雨の発生頻度および強度は増加している」という見解が示されており、従来では想定できないような集中豪雨のリスクが年々高まっていると言えるでしょう。
(引用元:気象庁『日本の気候変動2025 —大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書』)
つまり、設計段階においては「過去の降雨データ」や「過去の経験値」に頼ることはリスクが大きく、今後激甚化していく気象を想定した雨水排水の設計が必要になっています。
建設コスト高騰と労務環境の変化
近年、建設資材価格の高騰が著しく、その上昇が建設事業者および発注者双方に大きな負荷を与えています。
例えば、最新の報告によれば、2021年1月と比較して建設資材物価は約37%上昇し、それに伴って全建設コストは25〜29%増加したとのデータがあります。

(引用元:一般社団法人日本建設業連合会
「建設工事を発注する民間事業者・施主の皆様に対するお願い 建設資材高騰・労務費の上昇等の現状 パンフレット」)
また、国内の建設業界では、技能労働者の確保が長期にわたる課題となっています。最新の国土交通省(MLIT)の「建設労働需給調査」によれば、建設労働に関わる8職種で継続的な人手不足が報告されており、現場では労働力の確保に対する不安が根強い状況です。
(引用元:国土交通省『建設労働需給調査結果(令和7年11月調査)』)
以上のような理由から、労務費(公共工事設計労務単価)についても過去数年で大きく上がっていることが報告されています。
結果、非住宅建築工事において、大型の耐酸被覆鋼板や大口径のパイプを用いて施工をする従来の手法は、資材費・労務費の双方でコストリスクが高まり、施主・施工者双方にとって採算性に不安が出てきています。
そのため、“既製品+簡易施工”という建材の価値が、これまで以上に高まっている状況です。
適切な雨水排水設計は、 これらの社会的課題に向き合い、そして解決することが、これからの雨水排水設計では重要になってきます。
2. 最適な雨水排水設計のために
雨水排水設計をのポイントを、下記3点に分けて解説いたします。
1. のきといとたてといのサイズの選定
組合せ表(設計参考基準)によりサイズを求める方法
手順
- 建物の図面から、落し口1ヶ所当たりの屋根投影面積A(m2)を求めます。
- 下記リンクにございます「落し口1ヶ所当たりの適応屋根投影面積」を見て右図A以上の値を取る箇所を探せば、適合するのきといとたてといの組み合わせがわかります。
注)大きな外壁面に接した屋根の受ける降雨量は外壁面の50%を加算してください。
- 図から、落し口1ヶ所当たりが受け持つ水平投影面積Aは、A=10×30=300m2となります。
- 表中の「落し口1ヶ所当たりの適応屋根投影面積」の部分で300以上の数値がある欄を探し、建築条件にあったのきとい / たてといの組合せを探します。組合せ表はこちら

排水計算によりサイズを求める方法
のきとい、たてといのサイズは、取り付ける建物の屋根面積への降雨量をカバーできる排水量を持つ組み合わせとなります。
エスロン雨といのホームページでは計算ができる排水計算シミュレーションを公開しています。
他、選定方法の詳細については弊社カタログ「大型用総合資料」ご参照ください。
2. 降雨強度の設定(mm/h)
降雨強度とは、単位時間の降雨量を1時間あたりに換算したものです。例えば、10分間に 10mmの降雨があった場合の降雨強度は、60mm/hr[10mm×(60分/10分)]になります。
セキスイでは、日本各地における過去の気象データより、10年に1度程度現れる降雨量を目安とし、大型用雨といの排水量計算は降雨強度180㎜/hrを推奨しております。ただし、降雨強度の最終設定は設計監理者の判断を優先します。
従来は地域の気象データに沿った値を設定することが一般的でしたが、上述したゲリラ豪雨の増加によって、より高めの降雨強度で検討するケースが増加しています。詳しくは弊社営業担当までお問合せください。
3. のきといの水勾配
のきといの勾配の設定によっても排水能力は大きく左右されます。
勾配が急であればあるほど、のきとい内の流れが速くなるため排水能力が向上します。
ただし、勾配をきつく設定すればするほど、のきとい内での水上と水下の高低差が大きくなるため納まりや施工に注意が必要です。
尚、一般的な水勾配は1/200~1/500とされています。
3. 積水化学製品が社会課題を解決する
弊社では、最適な雨水排水設計に役立つ製品を多く取り揃えております。
1. 超芯 V-MAX
積水化学は業界で初めて超大型の金属加工といの樹脂化に成功。容量や強さなど、大型雨といに求められる特性において、金属加工といと同等※の性能を発揮します。(※当社比較) 詳しい製品紹介はこちら

2. 高排水システム
大型高排水システムは、工場や倉庫、店舗、駅舎などに使われる大型建物用雨とい「超芯V・Pシリーズ」と「カラーパイプ」を専用部材で組み合わせて、サイフォン現象の連続発生を実現した画期的な新排水システムです。
本システムによって、たてといの口径のサイズダウンを実現し、意匠性・施工性・経済性という3つの要素を改善・向上することが可能となります。詳しい製品紹介・設計施工の条件はこちら

また、2022年より高排水システムは陸屋根にも対応可能となりました。
物流倉庫や工場、店舗、教育・医療施設など幅広い建物で、たてといのサイズダウンを可能にします。
詳しい製品紹介はこちら

