戸田建設本社TODA BUILDINGにて耐火VPパイプ、
エスロハイパーAW、クウチョウハイパーCHなどが採用!
- #耐火VPパイプ
- #エスロハイパーAW
- #クウチョウハイパーCH
Introduction
2024年11月東京・京橋、戸田建設の本社ビル「TODA BUILDING」が開業。地下3階、地上28階建て、高さ約165メートルの超高層複合ビル。旧本社ビルの建て替え工事で、創業時から数えて5代目のビルとなります。中央通り沿いに広場を設け、1階と2階には来訪者が自由に鑑賞できるパブリックアートなどのスペースもあります。本社ビルの設備配管に耐火VPパイプ、エスロハイパーAW、クウチョウハイパーCHなどの樹脂管が採用されており、この度、本社ビルの設備設計と現場監理を担当された秋山様と白戸様、設備の施工全体管理を担当された下田様にお話を伺いました。
インタビュー : 2025年6月2日
戸田建設株式会社 TODA BUILDING 会議室にて

Guest
環境設備統轄部
主管 秋山 昌幸 様
主管 白戸 精 様
主管 下田 将史 様
Interview
環境を考えれば、鉄より樹脂管
- ———本社ビルTODA BUILDINGの8階フロアに来まして、まず設備系統の配管がショーケースのようにガラス張りになっていて、今までにない試みだなと感嘆しました
- ———何年前からプロジェクトはスタートしたのですか
- 秋山様 : 企画も含めるともっと以前からとなりますが、実際本腰を入れてスタートしたのは、12年ぐらい前からやっているように記憶しています。
- ———この4、5年で配管資材全般の値段が上がりましたが、いかがでしょうか
- 下田様 : 管材だけではなく、人件費も含めて価格高騰を実感しています。管材を選択する際は、前提として、設計図書に記載の性能を満たした上で、設計者と協議し、ライフサイクルコストも考慮しながら、選択・決定していきます。
- ———そういう中で積極的に樹脂管を採用いただきありがとうございます
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白戸様 : 樹脂管の採用は設計担当の想いが大きいです。設計部として『環境に配慮、材料にも配慮』という方針があり、鉄よりは樹脂だろうと考えています。今回も樹脂管を何処で使えるのかをまず考えて積極的に採用しています。もちろん設計部として使いたい場所がありますし、現場側の施工性の意見と擦り合わせしながら、できるだけ多くの場所で採用できるようにまとめていきました。
環境設備統轄部 左:秋山様 右:白戸様
- ———樹脂管を採用いただき、いかがでしたか
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秋山様 : 社内外含めて見学者から「エスロハイパーAWがたわんでいる」という指摘がありました。比較的太い配管はまだ良いのですが、細い配管はたわみが顕著に分かりますので。我々はそれが樹脂管の特徴であることが分かっていますが、見せる配管展示をしていると指摘されてしまうので、それを何とかしたいです。改善というか、良いやり方があれば教えていただきたいです。
積水化学 中田 : マイナスに捉えてしまう方が出てくるのは我々のアピール不足ですね。樹脂配管のたわみというのは『耐震性のある証拠』でお話頂いた通り特長のひとつなのですが、見せる配管となると意匠上ちょっと気になるという方も出てきてしまいますね。今後普及活動や説明方法などについても考えてみたいと思います。
- ———配管材の選定は、設計段階か施工段階か、どの段階で決定されているのでしょうか
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下田様 : 設計図を書く時点で設計部としての想いが込められています。その設計図で施工者側と設計者側で協議して、施工者から「設計通りやる」とか「給水はこれに替えてみたい」「消火配管のこの部分はエスロハイパーAW消火管にしたい」という提案を現場でしていきます。施工者側も設計意図を受け取っている中でのやり取りです。自社設計ではない場合でも同様にやり取りをしていきます。樹脂管には高い耐久性、錆びない、軽量で運搬しやすい、というメリットは当然ありますし、現場によってメリット・デメリットをトータルで考えて、樹脂管を積極的に採用しています。
環境設備統轄部 下田様
- ———樹脂管の改善点などありましたらお教えください
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下田様 : エスロハイパーAWの融着接合で、仮設電源だとなかなか電源が安定しません。発電機を現場に持ち込んで融着作業をしますが、そこがちょっと手間ではあります。
積水化学 中田 : 実は口径が75Aまでの対応となりますが、共用電源、発電機を使用しない電源コードレス電池パック駆動型EF融着機を最近出しました。マンション、住宅用途なら大体75A以下でまかなえます。重量も融着機本体が約7.6キロ、肩掛けベルトで持ち運びもできるという製品です。発電機も使わず、騒音もなく、電圧降下の心配もなくご使用いただけると評判も良く、5月に全国向けにレンタルを開始しました。
夜間工事や突貫工事など、騒音をできるだけ抑えたい現場も増えていますので喜ばれています。ただ1日の融着回数には制限がありますので、電池パックの予備を用意していただくなど工夫をしていただければ非常に使い勝手が良いと思います。下田様 : 確かに電気融着する時に、現場では電気がない。他から電源を持ってくる必要があるといった場面は多いです。電源が確保できないため、鉄管を使わざるを得なかった配管にもエスロハイパーAWが使いやすくなりますね。対応サイズの拡充や軽量化、充電時間の短縮など更に性能がアップするのを期待しています。
積水化学 中田 : 口径100以上の場合はポータブルバッテリーを用意している現場が多いと聞いています。容量と持ち運びのどちらが便利か。いろいろとご意見を頂きながら検討して参りたいと思います。
大きな現場だとコードが張り巡らされて、職人さんが足を引っかけたりしないよう少しでもコードレス化できるように、という話も聞いています。エスロハイパーAWとしてやれること、改善できることはまだまだ多いと思います。
エスロハイパーAWはすでに埋設部にはよく使っていただいており、建物の立て管、横引き管についても今後さらに重点的に進めていきたいと考えています。そういう点でここ『TODA BUILDING』のガラス張りショールームで配管を展示していただけたことに感謝しております。
秋山様 : 前回はセキスイさんの滋賀栗東工場の実験棟で、弊社の技術研究所と一緒に配管騒音実験をさせて頂き有難う御座いました。TODAビルは快適性と環境性の両立をコンセプトとしています。更に100年建築という考え方もベースにありますから、どれだけ耐久性があるか、が重要視されています。
- ———100年建築というキーワードがでてきましたが建築物を長持ちさせるための鉄管と樹脂管の差は?
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秋山様 : 樹脂管はやはり錆びない、耐久性があるという認識を私は持っています。 耐火性能という面では、昔は樹脂管というと抵抗があり不燃物の鉄管をメインで採用していたと思います。今回は、事前に裏付けデータをしっかりと把握することができましたので、色々な場所で樹脂管を使うことができました。これからも積極的に使っていこうと考えています。鉄管としては冷温水配管の250A以上の口径や、高い耐圧性能が必要となる箇所などで残っています。引き続き意見交換が出来ればと考えています。
積水化学 浅香 : 保温に関してお尋ねしたいのですが、耐火VPパイプやエスロハイパーAWの結露に関して既に御社の南砂研修センターにて実験をさせていただきましたが、保温材なしで設置できるようになる決め手は何でしょうか。
白戸様 : 基本的には、弊社特記仕様書や国交省標準仕様書を確認した上で、結露計算を行い、保温要否を決めていきます。
ただし、国交省標準仕様書も管内外の温度を規定して、保温要否を記載しているわけではないと考えています。
結露計算については、あくまで計算ですので「ある条件下」という前提になってしまう点は特に注意しています。
条件が違ったり、条件が決められないと保温要否を断定できないため、緻密に検証を重ねたうえで、最終的にはお客様と話をして理解してもらえるかだと思います。
下田様 : デベロッパーさんに対しても設計事務所さんに対しても、施工実績をいただきながら「これだけやっています」と説明することが必要だと思います。やはり目新しいものややり方は、使っていけば当たり前になっていきますが、最初はなかなか不安要素がありますから。「不具合が起きるのが怖い」と言って使わない保守的な人もいれば、「いいね、ちょっとやってみようか」という人もいると思うので、実績や実証実験データをいただきながらケースバイケースで検討していくしかない。
白戸様 : そうやって検討した結果を他の設計事務所さんに提案・助言することはよくありますから、是非とも技術研究所のメンバーと一緒に実証していければ、こちらとしてもメリットは大きいです。
- ———樹脂管の施工に関しての感想は
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下田様 : まず施工管理の面では鉄管で施工した場合には施工確認に大きく手間がかかりますが、エスロハイパーAWの場合は、単純に施工手順通りに融着すれば良いので非常に安心です。管理する側からすると、それはかなりのメリットです。
省施工になることで、例えば配管資材の価格は少し上がるけど、逆に労務的には費用が抑えられる場合などはコスト面でも有難いです。『労力も買っている』という考え方をする部分もケースバイケースでありますので。世の中の流れとして職人さんが減っているのは確かです。現場の工程が時間的にきつかったりすると、コストよりも労務が減るように、省施工できる管材に変更するという発想は工事現場ではよくやります。
当然、樹脂管の運搬は鉄管の運搬と比べてラクになっています。実は現場における鉄管の重量的な負担はかなり大きいです。配管材の置き場に関してもヤードにずっと置ける現場もあれば、「仕上げが来るから台車で移動して」と設備業者の社員さんが移動したり、職人さんが一緒に手伝ったりしている光景をよく見ます。これは見えない手間としてコストにきいてきます。
あと重いものだと現場では怪我に繋がる可能性も出てきますので、配管材はできるだけ軽くなれば有り難いです。ヤードには当面の施工で使う分の配管材をストックしますから、現場によってはかなり配管材が多くなることもありますので。
- ———樹脂管をもっとアピールするには、どうしたらいいとお考えですか。積水化学のLCAデータはどうですか?
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下田様 : 環境配慮やCO2削減を考えた時に、鉄管よりも樹脂管だろうということは誰しもがわかっているとは思いますが、その根拠について明確な数字となるとなかなか提示できない。CO2削減と言いつつも、実際の数値を誰も示せていない。
メーカーさんのカタログだと『施工性が何%いいですよ、ただこの限定条件で』とあります。我々が知りたいのは、実際の建物で樹脂管を採用した場合と金属管を採用した場合でCO2排出量の比較です。もしそんな風に建築全体のCO2比較が出来れば我々としても非常にアピールになると思います。積水化学 田中 : 積水化学では製品LCAデータの提示を開始しました。お示しできる根拠もしっかり提示して、あくまで製造プロセスまでの限定した範囲ではありますが、塩ビ管から諸々の材料まで比較できるようにしようとしています。戸田建設様のような最新の環境貢献製品をご要望される声にお応えしていく意味でも、はっきりした裏付けを提供していきたいという想いでやっているところです。
秋山様 : 環境配慮やCO2削減の効果を示していく際に、非常に参考になると思います。是非この取り組みを進めて欲しいと思います。
- ———積水化学へのご要望はありますか?
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秋山様 : 樹脂管は鉄管と比べて錆びないため清潔で良いと元々思っています。勿論いろいろな部分で更に使っていくための課題はあると思いますが、それぞれを解決することで、更に今後安心して採用していくことができると思います。
我々はこの建物自体を『ラボ』と呼んでおり、ここを実験場としていろいろな試みを行っています。耐火VPパイプやエスロハイパーAWの保温性に関する検証実験なども戸田建設としてはウェルカムです。逆に皆様のようなメーカーさんに相談いただき、その結果を基にお互いに向上していければ有難いですね。
下田様 : 要望としてクウチョウハイパーCHの20A~40Aくらいの小口径対応ができないでしょうか。
積水化学 中田 : 40以下に関しては、アルミ三層管のスーパーエスロメタックスを提案させていただいています。ファンコイル廻りの近傍で使っていただいていますが、冷温水管としてクウチョウハイパーCHとスーパーエスロメタックスの複合提案をしています。
下田様 : エスロハイパーの融着用バーコードをタグではなくて、シールに出来ないか、という話も出ています。これは単純に見栄えの問題で、タグよりもシールの方がいい、という一部の声が出ています。
積水化学 中田 : 口径の大きい管はシールになっているのですが、小口径のものはシールを貼るスペースがないので現在タグになっています。
融着した際に『融着時間』を記載するようにしてもらっているので、管に書くより、タグの裏に書いていただく方がキレイに見えるという声もあるようです。貴重な意見として今後の参考とさせて頂きたいと思います。
貴重な意見をお聞かせいただきましてありがとうございました。我々としてもご期待に応えられるような製品およびデータをご提供できるようにしたいと思います。是非とも今後とも宜しくお願いいたします。
Products
積水化学のLCA −数字で示す環境課題への貢献−
製品のLCAデータの提示を開始しました
建築物LCAに係る制度化
政府は、建築物のライフサイクルカーボン削減に向けた取り組みの一貫として
建築BIMの普及拡大とLCAの義務化について制度の検討を開始しました。
建築物関係のCO2排出は、①建設・維持管理・解体段階での排出(エンボディドカーボン)と、②建築物使用に伴う排出(オペレーショナルカーボン)に分類され、このうち②建築物使用に伴う排出(オペレーショナルカーボン)は、省エネ対策により削減が進んでいます。今後は、エンボディドカーボンについても削減に向けた対策が必要です。
政府は、建築物分野のCO2排出量の削減のためには、建設資材・設備の製造・施工・解体時の取り組みが必要となりLCA算定が必要と考え、規制・誘導を含む制度のあり方について方向性の確認を目指す模様です。
2050年のカーボンニュートラル実現を目指し建築物のLCAが重要となります!
建築物LCAに係る制度化
- ● ここでのLCAデータとは、製品の原材料調達から製造、使用、廃棄、リサイクルに至るまでに排出される温室効果ガス量(CO₂換算値)を定量的に評価するCFP(カーボンフットプリント)を指します。
- ● CO₂排出量には、メタンや一酸化二窒素など、他の温室効果ガスをCO₂に換算した値も含まれます。
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脱炭素への取り組みと、製品LCAデータをご紹介する
「サステナビリティカタログ」 -
積水化学の脱炭素への取り組みと、LCA、『サステナビリティ貢献製品』などご紹介する「LCAデータでサステナビリティ推進を支援 動画」
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今回ご紹介させていただいた製品
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建物用耐火性硬質ポリ塩化ビニル管(建物排水・通気用)
エスロン耐火VPパイプ〈FS-VP〉
耐火DV継手〈FS-DV〉
透明耐火DV継手防火区画の貫通がパイプだけで可能です。耐火DV継手または透明耐火DV継手との組み合わせで確実に延焼を防止します。
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水道用耐震型高性能ポリエチレン管
エスロハイパーAW
管体独自の可とう性とEF接合により地震に強い一体管路を構築します。また、耐久性・耐食性にも優れます。
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空調配管用高性能ポリエチレン管
クウチョウハイパーCH
新複合素材の中間層が、従来のPE管の半分以下の線膨張係数を実現しました。冷温水用途に使用可能なPE管です。
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空調ドレン用結露防止層付硬質塩化ビニル管
エスロンACドレンパイプ
保温材の機能を有しているために、配管と同時に保温工事が完了します。保温工事の必要がありません。
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事例紹介最新製品ご採用事例
採用現場写真を中心にご採用事例をご紹介!ご採用の経緯や決め手もご紹介しています。
これ以降は会員の方のみご利用いただけます
会員登録済みの方
未登録の方
<営業担当から一言>
給排水インフラ事業部
給排水システム営業部
東日本グループ
浅香 茜
戸田建設株式会社 秋山様、白戸様、下田様
ご多用の中、インタビューの機会をいただき、誠にありがとうございました。
また本社TODA BUILDINGにおいて、エスロハイパーAWや耐火VPパイプ、クウチョウハイパーCHなど多数の建築設備製品をご採用いただき、誠にありがとうございました。長らく担当させていただいた東出ともども、非常に嬉しく思っております。
今後も軽量で省施工な樹脂管をより一層お扱いいただけますよう製品の品質やサービスの向上に努めてまいります、またご要望が増えております製品LCAデータについてもしっかりと提示させていただくことで、御社の「より良い社会への貢献と持続可能な企業への発展」に向けて、微力ながら貢献できるよう努めてまいります。