大型建物のたてといをサイズダウン!

大型高排水システムの採用で豪雨対策
スピーディ施工で工事の負担を大幅軽減!

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Introduction

株式会社小林板金工業の創業は大正10年。銅藤板金店として産声をあげました。当時は“桐生の着倒れ”という言葉がある通り西の京都・西陣と並ぶ織物の産地として繁栄の極みにあった桐生市へ、蚕(かいこ)を買い付けて繭を納めるという養蚕(ようさん)事業の傍ら、近隣農家の屋根を直したり、板金の仕事を請けていました。
現在は、地元群馬県を中心に関東圏内の建築板金工事(屋根、外壁、とい、飾り)を主業務にしています。
時代の流れと共に社名は変われど、培ってきた職人の技術を着実に継承してきた職人集団です。

今回は、積水化学の「大型高排水システム」を継続してご採用いただいている経緯や施工したご感想、また独自に行っている営業活動について、株式会社小林板金工業 堀越社長にお話を伺いました。

インタビュー : 2023年1月24日

株式会社小林板金工業 取締役社長 堀越 富宏様
株式会社小林板金工業
取締役社長 堀越 富宏 様

Guest

株式会社小林板金工業 取締役社長 堀越 富宏 様

Interview

――――まず、最初に小林板金工業様について教えてください
堀越様 : 事業内容としては建築板金工事ですね。屋根や外壁、とい、飾り(板金加工)の工事を請けています。新築の案件が9割、改修の案件が1割に満たないくらいの割合で、ほぼ新築工事です。
―――――雨といを選ぶ際、施主様や建設会社様はどういった悩みを抱えていらっしゃるのでしょうか
堀越様 : そういった悩みを相談されて…といった流れでの工事はほとんどないんです。工事を請ける際は設計が済んだ状態で依頼が入ってきます。設計が済んでいるので使う部材も決まっている状態なのですが、その時に「こんな製品があるよ」とご紹介をして雨といの仕様を変更していただいたり、あるいはゼネコンさんや設計事務所さんに行って「こんな製品があるから、この製品で設計してください」とプレゼンをしてお仕事をいただく提案営業をしています。
―――――もともと積水化学の雨といを使用されていたのでしょうか?

堀越様 : いえ、大型高排水システムを採用するまでは他社さんの製品を使用していました。いまではほとんどの部材で積水さんのものを使用しています。
大型高排水システムを最初に聞いた時は正直「積水さんはどうしてこんなもの作ったんだろう?」と頭にハテナが浮かんでいたんです。
大型建物や物流センターのたてといはφ200などの太いパイプを使います。
普通に考えたらパイプは太い方が高く売れるわけじゃないですか。それをわざわざサイズを細くして、積水さんの売上が下がってしまうのではないか、それで本当に大丈夫なのかなと心配でした。
それに私どもの扱う案件には規模の大きい物流倉庫などが多くあります。建物全体でたてといのサイズを下げてしまうと、私どもは損失こそないですが、細くなった分売上は下がってしまいます。特に大型の物件ではその差が顕著に出ると思いました。

超芯 V500+高排水 VU75 の施工事例
――――最初の採用には悩まれていたのですね
堀越様 : そうですね。ですが実際に弊社の職人に使ってみてもらった所、職人から「これはいいよ。楽だよ」と大絶賛でした。細い分軽いですし、たてといの支持方法も太いパイプに比べ当然簡易になります。ものすごく施工性があがるので、その点でプラスになっているのかなと。決め手は職人の方から「これでやっていきましょうよ」との声があった事ですね。以降ほぼ全部の部材を積水さんのものを使っています。のきといはもちろん、たてといはエスロンパイプですし、谷といもエスロコイルを使っています。
――――大型高排水システムを採用されて変わったことはありますか?

堀越様 :様々な所で大型高排水システムを設計に組み込んでもらうため、説明する機会をいただいているのですが、そのお客様への説明も楽しんでいます。大型高排水システムを紹介すると最初は「うそだろ~。そんな細いパイプじゃ無理でしょ」っていう反応なんです。でも、サイフォンの説明をして、動画を見せると「すごいじゃん」っていう風に一変するんです。提案させていただく私どもも楽しいですし、お客様へのメリットも説明すると関心をもって聞いてくれるんですよ。
現場の予算というのは決まっているのですが、たてといにφ200の配管を使用する規模の現場の場合、大型高排水システムならたてといをφ100まで細くできるんですね。場合によりますが、金額的には金物等も含めて大体1/3くらいに縮減することも可能です。じゃあ浮いたお金をどうしよう。
現場のなかで有効活用できないか?となった時、例えば部材のグレードを上げてワンランク上の品質を目指したりできます。施工も楽になるし、同じ予算でワンランク上の品質を施主様にご提供できます。これは一例ですが、その時々の現場の状況によって様々な選択ができるものと思っています。
最近では業界も変わり始めてると感じています。私どもが工事を請ける大型建物の案件については特に感じますね。
※縮減される金額は使用部材や現場条件等によって変わります

超芯V500+高排水VP75の施工事例
超芯V500+高排水VP75の施工事例
――――今後、さらに採用は増えそうでしょうか?

堀越様 : 最初は「このでっかい倉庫にこんな細いパイプはおかしいじゃないか」等の意見もあり、風当たりは強かったですね。採用事例も少ない状況でしたから。実際に呼ばれて怒られたりもしました。
ですが製品を丁寧に説明して、今ではご理解いただいてご採用してもらえています。ご叱咤いただいた会社様にも今では大型高排水システムを使っていただいています。

社長 堀越 様
――――営業提案される中でご苦労されたことはございましたか?

堀越様 : これは、面白い話でもあるのですが「サイフォン」の原理を説明するのが大変でした。
いままではたてとい内側の側面に沿って水が落ちていたのですが、サイフォンを利用することでパイプの断面積すべてを使って水を落としこむようになります。
この説明が中々むずかしい。
「そんなことあり得ないよ」とおっしゃる方が多いんですね。スタートは否定からです。反面それを実現していることが解ってもらえれば「これ、スゴイね!」というふうに反応が変わって、一層のご興味をもって話を聞いてもらえるんです。
「サイフォン」の説明をできる限り分かりやすくお伝えするためにいろんな角度でお伝えするようにしていました。水洗トイレだったり、サイフォン式のコーヒーも同じ原理を使っていると聞きます。

高排水システムの原理

そうやってシステムをご理解いただいて「ああ、なるほど。だから断面積いっぱいで水が落ちるんだな」と腑に落ちてもらえるのが面白いですし嬉しい瞬間ですよね。
今後の課題として、水を落としているときはすごいパワーなので、振動がやっぱり出てしまうんですよね。うちの会社独自で振動を吸収する制振バンドのような金物を作れないかなと考えています。
振動で壁から支持金具が抜けてきてしまうんじゃないかと心配な部分もあるんです。

――――積水としてはとてもありがたいお話ですが、その原動力はどこからくるのでしょうか
それはやっぱり、うちの職人が「これを使いたい!」っていう声が大きかったからですね。
雨といの工事をするのは工事の一番最後になるんですが、現場で工期の遅れが出てしまうと雨といにかけられる工期が短くなってしまう傾向にあるんです。
建物全体の工期は守らなくてはいけないので、工期中に工事を終わらせるために施工性というのが非常に大切なファクターになるんです。
もたもたしていると足場の解体の話が来るほどですから、職人が感じるプレッシャーも推して知るべきところです。
足場を解体されては私どもも工事ができませんので、スピーディに施工できるというのは精神的な余裕も出来ますし、会社としても武器になるんです。物件の規模にもよりますが大型建物用のたてといはφ200のパイプを使用します。パイプ2本をソケットで接着して、またパイプをソケットで接着して…を繰り返していると、人数も必要になりますし、非常に重いので取り回しも思うようにいかなかったりします。
φ200の配管といったら本来は建築ではなく土木分野で埋設配管などで使われるような管材です。大きな物件ではφ300を使うなんてこともあります。
職人達に言われたのが「一度、体験してください」。それほど大変な作業になるんですよ。
――――φ200やφ300は大変ですね。そんな大きな口径になってくると持つのも、接着するのも大変じゃないですか

堀越様 : そうなんです。大型高排水システムを使えばφ200がφ100になるんです。この差は非常に大きくて、これによって短工期の物件も間に合わせられるんです。
多くのメーカーはφ200などの大きい口径ではソケットでの接合が大変だから“ゴム輪接合”という方式を採用していると伺いました。
でも、たてといではゴム輪接合ではなく、接着剤による接合なので、本当に大変。
レバーホイストを使って挿入しないととても入らないです。
φ100でしたら手でも入れられるので、現場からしたら本当に有り難くてそれでいて画期的なんですよね。
今は大型高排水システムじゃないとやりたくないって職人がほとんどです。

――――その他にも、大口径のたてといになると困ることはあるのでしょうか

堀越様 : そうですね。たてといの支持に関しても、大口径の場合課題がありますね。
T字足にバンドじゃたてといが固定できずグラグラするんですよ。決まった方法が定められていないので自分達で考えて工事するしかないんです。
三角ブラケットをT字足のステンレスのところで固定してなんとか支持しているような状況です。
たてとい自体も重いし振動もしますので、しっかりした壁の下地がないと外れてしまいます。角波の壁面は比較的丈夫なのですが、ALCだと悩ましいですね。
固定する側の強度も求められてしまい補強が必要になることもあります。

他にも耐候性の問題もあります。もともと土木用の埋設するための配管を使用しますので、高い耐候性があるというわけではありません。日焼けによって劣化しクレームをいただくこともしばしばありました。メーカーさんからしてみれば土木用のパイプを勝手にたてといとして使っているので、補償もありません。
建築仕様書なんかを読み込んでも、たてといに関しての記載はほとんどないんですよね。「ステンレスで1200ピッチで支持する」と書いてあるくらいです。
技術革新もなくゲリラ豪雨などの大量の雨水にどうにか対応するため、たてといを大口径にして間に合わせている。というような状況です。

――――φ200からφ100にたてといサイズが変わって、体感的にはどの程度の時間短縮効果がありましたか?

堀越様 : だいたい1/5くらいに短縮されたんじゃないかな。
運搬の手間から何から何まで早くなったと思いますね。
一人で担いで運べるのもφ150が限界ですから、大きくなればなるほど手間はやっぱり増えてしまいます。ソケットやエルボひとつ繋げるのに、大変な手間と時間が掛かります。
配置人員にも差は出てきます。たてといを1本立てるのでもφ100であれば2人いれば出来ますし、慣れていれば1人で立てられる職人もいます。ところがφ200の大口径になると1本立てるのに5人は必要になるんですよ。
ある会社さんは屋根は自分たちで工事して、雨といは外注している所もあります。
屋根を張って雨仕舞を終わらせたら、次の現場に回って…という具合に仕事をしているそうです。
雨といをやるとなると、外壁を待たないといけないし、足場の撤去に追われて施工することになり、会社としては“やらない”という判断の方が得という風に考えている会社さんもいらっしゃるんですね。
大口径となると、それほど大変な仕事っていうことなんです。逆に“雨とい屋”みたいな雨とい専門の業者さんも最近は新しく生まれていたりします。

重量削減(4m長さ1本あたりの比較)
―――会社によって戦略が変わってくるんですね
堀越様 : 弊社はこれからもずっと雨といもやっていくつもりです。
職人の会社なので、部材を売ったり商品を開発しているわけでもありません。どこのメーカーのどんな部材でも工事できる職人集団というのが特長でして、どんな現場でも弊社の人員コストだけで現場の職人品質を保てることを売りとしています。
会社によっては雨といの仕事を請けても雨とい屋にお願いするって会社もあると思います。
でも、大型高排水システムはこれまで話した大口径たてといの悩みを全部解消してくれる画期的な製品だと感じており、これからもどんどん使っていこうと思っています。
もっと認知と普及が進めば、雨といを外注してた会社さんも自分たちで雨とい工事もやり始めるじゃないかと思いますよ。
―――大型高排水システムはいつ知ったのでしょうか
堀越様 : ある日、営業さんが飛び込みで来られたことがきっかけですね。ご縁が出来てからも良くしていただきました。
百聞は一見にしかずということで動画を見せていただいてとても分かりやすかったです。私達が口で説明するよりも、動画があったほうが分かりやすいですから。
―――独自で営業もされたと伺いましたが、どんな活動をされているのでしょうか
加工とい(エスロコイル)+高排水VP125の施工事例
加工とい(エスロコイル)+高排水VP125の施工事例

堀越様 : 積水さんにDVDや紙のカタログをご用意いただいて、配って回ったりしています。これまでの現場事務所はほとんどのところで大型高排水システムを紹介したと思います。
設計事務所さんにも説明をしに行ったり、説明が足りなかったら積水の営業さんにも来ていただいて、追加で説明してもらいました。
これらの活動は弊社の受注活動にも良い影響がありますし、ライバルみたいな会社は少ないのですが、建設会社さんというのは1社に対して4社・5社くらいの板金屋さんがいます。それで相見積をとって、どこにお願いするのか決めるんです。同じ物件で見積を取った時にうちだけ図面にφ100とか書いてあれば、目にも留まりますし、大型高排水システムでφ100にした方が良いですよといった提案もできるようになると思います。大口径を使用した場合と大型高排水システムを使用した場合で、建設会社さんにわかりやすく金額の提案も出来たらと。
弊社としては施工性が格段に上がり、建設会社さんにとっては工期短縮、施主さんにとっては部材のグレードを上げてワンランク上の品質を提供できるんですね。
みんなが良い思いができる画期的な製品だと思います。

―――大型高排水システムの施工後に施主様や建設会社様からご感想などはありましたでしょうか
堀越様 : ゲリラ豪雨の雨水もしっかり飲み込んで排水できているね。っていうような感想は実際に降ってみないとわからないことなので今後に期待しています。
まず反応があったのは外観ですよね。細くシュッとした印象を受けるので、太い大口径管を見慣れている方々には不安に思う方が多いです。でもこれからは、この細いたてといがスタンダードになっていくと思っていますし、建設会社さんもいずれ慣れてきて、昔はこんな太いパイプをたてといにしてたんだよ、っていう時代が来ると思うんですよね。早くその時が来るのを待ちわびています。
―――ありがとうございます。では最後に積水化学に対してご要望等あればお聞かせください。

堀越様 : たてといから先の部分で雨水を飲み込めないという事例がいくつもあります。
雨といに関しては、大型高排水システムに変更することによって豪雨に対応できるようになりました。となっても実はその先のマス以降の部分で雨水を十分に飲み込むことができずに、溢水してしまうという話があるんです。一貫して設備を設計できないという一つ弱点のようになっています。
たとえば雨水調整池がいっぱいになってしまうパターンや、近隣の河川に排水しようにも増水のため排水できずマスから溢水してしまったり。
雨といから雨水を飲み込んで、地下に雨水を貯める施設やそれまでの配管もパッケージとしてあると嬉しいかなと思います。配管としてはつながっているけど、工事領域が分かれているからといって無視できないじゃないですか。屋根からのきとい、のきといからたてといと豪雨を飲み込んできても、最終的に溢水してしまっては無意味とまで言わないですが、やはり大型の建物や物流センターにはそこで仕事する人達のためにも備わってほしい機能だと思っています。

―――実は、積水化学では大型高排水システムから集めた雨を貯留槽まで一貫して設置するご提案を構想しています。

堀越様 : そうだったんですね。それは是非お聞きしたいですね。
大きい敷地があるのにもったいないなと思っていたんです。
雨水が排水できなくなると、パイプに雨水が溜まっていってしまい地面だけでなく建物の中まで逆流してしまう恐れもありますから。そういった先の所まで建設会社さんに設計・提案が出来たらと思います。
それと是非、たてといの振動に対応できる取り付け金具の開発をお願いします。

加工とい(エスロコイル)+高排水VP75の施工事例
加工とい(エスロコイル)+高排水VP75の施工事例

――――貴重なご意見ありがとうございました。今後メーカーとしてより良い製品、さらなる易施工性をご提供できますよう精進してまいります。

<営業担当から一言>

東日本支店 東京建材営業所
関東建材グループ
高橋 徹也

この度は現場レポート取材にご協力いただきありがとうございました。
堀越様には飛び込み訪問で上市間もない本システムをご紹介させていただいて以来、北関東エリアを始め、広域に本システムを広めて行くその牽引役を果たしていただき大変感謝しております。
私も本レポートでもあります通り堀越様や職人の方々が本システムのメリットに共感いただいた「これはいいよ、楽だよ」という声に後押しされて自信を持って工事店様、建設会社様への採用活動に邁進する事が出来ました。
堀越様が大切にされている「現場主義」の真念に寄り添えるメーカーとなれます様、日々精進して参りますので今後もよろしくお願い致します。

<営業担当から一言>

建材事業部
戸井田 美優

この度は現場レポート取材にご協力いただきましてありがとうございました。また、日頃より大型高排水システムを始めとするセキスイ製品をご愛顧いただき誠にありがとうございます。
堀越社長には数年前に大型高排水システムのご提案をさせていただいて以来、これまで多くの現場でご採用いただきました。今でこそ全国の物件で採用実績がございますが、当時はまだまだ手探りの状況の中、採用のご決断に至るまでにはご苦労もあったかと思います。
そのような中、早くから大型高排水システムの良さに着目いただき、ご採用いただきましたことを本当に感謝しております。我々も、発売当初は「本当に太いパイプを細く出来るの?」といったお声も現場で多くあり、認知活動に苦労をしておりましたが、そんな中でかけていただいた、堀越社長の「この製品がスタンダードになるのではないか」という言葉が今でも強く印象に残っております。
今後も様々なご意見を頂戴しながら、易施工を実現できる製品作りに努めて参りますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

Products

今回ご紹介させていただいた製品

サイフォン式雨水排水 エスロン大型高排水ステム

製品解説――――

集中豪雨や労働者人口の減少など、環境や社会の変化に対応するため、セキスイがご提案する雨水排水の新システム。
大型高排水システムは、工場や倉庫、店舗、駅舎などに使われる大型建物用雨とい「超芯V・Pシリーズ」と「カラーパイプ」を専用部材で組み合わせて、サイフォン現象の連続発生を実現した画期的な新排水システムです。

  • 1.従来排水と高排水システムの違い

  • 2.排水能力

  • 3.様々なメリット

    1.意匠性

    竪といサイズダウン・豊富な色揃え

    2.施工性

    重量削減・省スペース化

    3.経済性

    材工費のコストダウン

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