名古屋市中村区役所

善光寺本堂を火災から守る
消火設備配管にエスロハイパーJWが採用!

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Introduction

長野県長野市の善光寺で、国宝である本堂のドレンチャー設備用消火配管に積水化学の高性能ポリエチレン管「エスロハイパーJW」が採用されました。
日本最古の仏像と伝えられる、一光三尊阿弥陀如来【いっこうさんぞんあみだにょらい】を御本尊とする善光寺は創建以来約1400年の長い歴史をもち、国内外から参拝客が訪れます。2022年は7年に一度の御開帳の年で、一層多くの参拝客でにぎわいました。
工事を担当された株式会社酒井設備の目黒様に、エスロハイパーJWが採用された経緯やご感想を伺いました。
インタビュー : 2022年10月25日(オンラインによる取材)

Guest

株式会社酒井設備 工事主任 目黒 様

Interview

耐久性と施工性が評価され
国宝を火災から守る重要設備に採用

–––––まず、今回の工事の概要を教えてください

目黒様 : 今回の工事は、善光寺本堂に設置されたドレンチャーに繋がる消火設備配管を更新する工事です。ドレンチャーは本堂の屋根に設置されており、付近で火災が発生した時には水を噴射して建物を覆う水のカーテンを作り出し、国宝である本堂を延焼から防ぐことが目的です。境内の消火水槽を水源としてポンプ室からバルブピットを経て本堂に繋がっているのですが、その途中の埋設配管にエスロハイパーJWを使用しました。

株式会社酒井設備 工事主任 目黒様
株式会社酒井設備 工事主任 目黒様
–––––酒井設備様では以前も善光寺様で工事をされたことはあるのですか?

目黒様 : 弊社は地元長野市を中心に水道土木工事や衛生配管工事、消火設備工事を請け負っており、善光寺さんでも事務局の給排水設備や放水銃用の消火設備配管の工事経験があります。個人的には幼い頃から馴染み深いお寺だったのであまり特別な感覚は無かったのですが、仕事として携わるようになると国宝や重要文化財として大切にされていることがよくわかります。世界中から観光客が訪れる日本有数のお寺に仕事で携われるのは誇らしい気持ちです。特に今年は7年に一度の御開帳があり、絶対秘仏である御本尊と同じお姿の前立本尊が公開されていましたから参拝客が多かったですね。
今回の工期は2022年の4月から11月だったのですが、実際には4月3日~6月29日の御開帳が終了してから本格的に工事を開始しました。もちろん御開帳が行われるのはわかっていましたので、参拝客が増える期間中は避けながら滞りなく工事が完了できるよう準備を進めていきました。

善光寺仲見世通り
善光寺仲見世通り
–––––善光寺様のような施設で工事を行う場合、通常の工事と比べてどんな違いがあるのでしょうか?
本堂から道を一本隔てた施工現場
本堂から道を一本隔てた施工現場

目黒様 : 今回は建物の工事ではありませんが、本堂や山門のような国宝や重要文化財に指定されている建築物ですと保護を第一に考え、床や壁に勝手にビスを使用したりすることはできません。建物ではなく縁の下の土台部分であっても、例えば配管用の支持金具を設置するためにビスを使用したいとなれば許可を取る必要があります。
また建物以外でも保護のために細かい気配りをしています。放水銃の設置工事の時は市の文化財に指定されている石畳の地下を通る配管であったため、石工や造園の業者さんに力を貸していただき工事の前後で変わりがないようにしました。
今回のように新たに掘削工事をする際には市の埋蔵文化財センターに申請が必要になり、現場に担当者様が立会に来られます。もし、掘削中に重要な資料が出てくると工事を止める必要があるためです。

–––––では、工事について詳しく教えてください

目黒様 : 今回の工事では消火設備用のポンプを取り替えて吸込管と吐出管を鋼管で更新し、ポンプ室から地中のバルブピットまでの約25mの埋設配管とバルブピットから本堂に繋がる既設配管との接続部をエスロハイパーJWで更新しました。サイズは埋設部が300A、接続部は200Aです。
配管は本堂の屋根に設置されたドレンチャー設備に繋がっていて、火災発生時には建物を囲むようにカーテン状に水を噴射して延焼を防ぎます。本堂の屋根は檜の樹皮で葺かれていて非常に燃えやすく、火の粉が飛んできただけでも出火してしまう可能性があるので文化財保護のため非常に重要な設備です。

本堂のドレンチャー設備試験の様子
本堂のドレンチャー設備試験の様子
–––––エスロハイパーシリーズはこれまで使用されたことはありましたか?
山門(重要文化財)
山門(重要文化財)

目黒様 : 初めて使ったのはもう20年くらい前になります。今は編入して長野市の一部になっている中条村の浄水場での外構配管工事でした。その時にポリエチレン管のEF融着を知り、こんなに良いものがあるのかと驚きましたね。消火管用にエスロハイパーAWを使用する機会が多く、善光寺さんでも重要文化財である山門と経蔵に設置された放水銃の消火設備配管で使用したことがあります。その実績があったことで今回も採用されたのではないでしょうか。

–––––エスロハイパーJWと他管種を比較した際のメリットを教えてください

目黒様 : やはり一番のメリットは重量ですね。鋼管に比べて断然軽いですから施工性が良い。今回は300Aと大きなサイズだったので樹脂管でもそれなりの重量がありますが、継手なら一人でも持ち運べる程度です。鉄製の継手ではそうはいきません。バルブピットと既設管の間は45°エルボを組み合わせて接続したのですが、位置合わせに苦労したので軽い継手で助かりました。
それに鋼管の場合は溶接での接合になります。そのためには人が入れる作業スペースを確保するために掘削幅を広くとらなければならないんです。継手部分の両側を少なくとも60cmは空ける必要があり、時間も費用もかかってしまいます。

バルブピットから既設管への接続
バルブピットから既設管への接続

EF接合であれば20cmくらいで済みますし融着機を使用するため接合にかかる作業も削減できます。
またポリエチレン管は耐食性が高いことも大きな利点ですね。溶接してから防食テープを巻くとなるととてつもない労力がかかってしまいます。鋼管でも樹脂がコーティングされた外面被覆鋼管は耐食性がありますが、今回のような大口径管はラインアップされていないですから。
エスロハイパーJWの材料費は鋼管より高くなりますが、施工費をグンと抑えられたことでトータルの費用を削減できました。

–––––今回の工事で苦労された点はありますか?
目黒様 : 300Aのポリエチレン管を施工するのは今回が初めてで、樹脂と言えど大きくて重たいので継手の挿入が少し大変でした。ですが営業担当の喜多村さんから施工方法の資料をもらっていたので、それを見ながらだんだんとコツを掴んでいきました。融着面を切削した後に切削のムラを丁寧に取り除いて、二人がかりで押し込むと上手く入れることができました。鋼管では重くて持ち上げることもできませんから、手作業で扱える重さなのはありがたいですね。大口径向けに専用の差し込み治具のようなものを開発していただけるともっと施工性がアップすると思います。
ほかに苦労した点としては、ポンプ室からバルブピットまでの埋設部は25mほど離れているのですが、地中の既設管を避けるためにストレートの配管にはできずに継手を多く使用したことです。接合作業が増えてしまいましたが鋼管を使用していたらもっと大変だったと思います。
ポンプ室からバルブピットへ繋がる埋設配管
ポンプ室からバルブピットへ繋がる埋設配管
ベンドを用いて地中の既設管を回避
ベンドを用いて地中の既設管を回避
–––––施工省力化に貢献でき何よりです。最後に積水化学への要望や課題点、期待されることはありますか?
目黒様 : お話ししたように大口径用の差し込み治具ができると今以上に施工性の良い製品になるので期待しています。
もう一つお願いしたいのは、消防認定品のラインアップの拡大です。積水さんから消火設備用配管として販売されているエスロハイパーAW消火管では消防認定を受けているのは200Aまでですよね。今回エスロハイパーJWの300Aを使用することができたのは善光寺さんが消防局の管轄外だからなんです。
善光寺さんでは、屋外消火栓や屋内消火栓、ドレンチャー設備や放水銃設備のすべてにおいて自衛消防隊が管理されており長野市消防局としては管轄外になっています。そのため、過去に実績がある認定品のエスロハイパーAW消火管と同等の性能があると認められて、エスロハイパーJWの300Aを使用することができました。
消防認定品でなくとも使用はできましたが、もちろん認定を受けている製品が推奨されることが多いです。認定品ラインアップが拡大すればもっと採用が広がっていくと思います。
近年では沖縄の首里城で火災が起きたこともあり、文化財における消火設備の見直しが進められています。設備を更新しても10年しかもたないのでは心許ないですから、エスロハイパーのように耐久性や耐震性に優れて長寿命な製品にはますます注目が集まっていくと思います。
※2022年から始まった首里城の復興工事ではエスロハイパーAW消火管が採用されています。

–––––貴重なご意見をいただきありがとうございます。お客様の利便性向上を進め、文化財保護に貢献できるよう努めてまいります。本日はお時間をいただきましてありがとうございました

Products

今回ご紹介させていただいた製品

水道用耐震型高性能ポリエチレン管 エスロハイパーJW

製品解説–––––

1995年、日本で最初にポリエチレンによる配水ラインを開発・製造、販売して以来、その優れた特性により、ライフラインの耐震化・コスト縮減など、多くの信頼と実績を築いてきたエスロハイパー。その性能が評価されて、水道ビジョン、水道事業ガイドラインにおいても、耐震管材に位置づけられ、ますます注目を集めています。JWWA規格品・準拠品であるエスロハイパーJWは積水化学の高い設計・製造技術、そしてEF(電気融着)接合によって、施工を大幅に効率化。継手の品揃えを追加し、様々な施工状況にも対応。また、給水ラインとの接続もスムーズに行えます。安全性が高く、高性能な製品の供給をお約束するエスロハイパーJW。人々の、そして、水道事業の発展に大きく貢献していきます。

特長
  • 1.耐震性

    EF接合により一体化管路を構築。継手の抜けがありません。柔軟性に優れ、地震や地盤沈下の場合も破損・漏水しません。
    厚労省耐震化に関する検討報告書 「耐震管として区分されています」

  • 2.耐食性・衛生性

    サビ・腐食が発生せず、長期にわたり安心して使用できます。
    また、衛生的で地球にやさしい材料です。

  • 3.施工性・省力化

    軽量のため持ち運びが容易です。
    また、柔軟性があり、生曲げ配管により継手の数を減らせます。

  • 4.耐久性・経済性

    配水用ポリエチレンパイプシステム協会では、山形大学の栗山教授にご参加いただき、多岐に亘る実験、検討を行った結果、配水用ポリエチレン管路の100年寿命を検証しました。
    ダクタイル鋳鉄管に比べ、コストダウンが図れます。

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