工場・研究所 制振材
壁に吸音材は使えない・・・制約だらけの中で実現した新設工場の"貼るだけ"騒音対策とは?
製造業(半導体) A社 工場保全担当 A氏
半導体工場の新設にあたり、保全の責任者を任されたA氏。最新鋭のシリコンウェハ製造施設ということもあり、クリーンルーム内の空調機器には大型の外調機が必要だった。ところが、工場の立地が住宅街や小学校に隣接していることもあり、環境省や地方自治体が設ける「騒音規制法」を順守する必要があった。A氏に課されたのは、「騒音規制法が定める基準値まで音を抑えつつも、クリーンルームの環境を損なわない」という難題。A氏はその対策に頭を抱えていた。

騒音対策は数あれど、現実は厳しい
当初、A氏は既存の騒音対策を洗い出し、比較検討を進めていきました。しかし、シリコンウェハ製造におけるクリーンルーム環境は非常にデリケートであり、繊維の飛散や素材の粉塵が問題となる恐れがあるため、代表的なグラスウール系の吸音材は使用できませんでした。また、高性能な防音材は単価が高く、予算の枠を大きく超えてしまうものでした。「室内設備や建物側ではなく、機械自体に後付けできるもので、かつ、予算内におさまること」が絶対条件となり、A氏は素材ベースでの情報収集に方向転換することになりました。

凹凸の多い外調機に対応できる素材を探して
対象となる大型外調機は、点検口の配置、空調配管の取り回し、制御装置が密集する背面構造など、いずれも凹凸が多く、既製品の防音カバーで覆うことは不可能です。さらに、凹凸の多い構造を隅々までカバーするには、作業効率も重要なポイントです。現場の保全チームが限られた人員で施工するため、道具を使っての加工が難しい素材や、施工手順の煩雑なものは現実的ではありませんでした。「貼るだけで効果が見込める」──そんな素材をA氏は探し求めていました。

予算にも限りがある中で
もちろん、現場を悩ませるのは素材だけではありません。新工場の立ち上げ期ということもあり、空調、電源、配管など他のインフラ工事も並行して進んでおり、騒音対策だけに充てられる予算は限られていました。防音対策に特化した施工業者に外注するとなれば、大幅なコスト増になる懸念も。加えて、短期間で複数台の外調機に施工を終えなければならず、「低コスト・短納期・簡単施工」をすべて満たす製品でなければ、実現が困難な状況でした。
課題のポイント
- 1. 住宅や小学校が近く、騒音規制法の基準値の順守は必須
- 2. 凹凸が多い外調機にも対応できる柔軟な素材が必要
- 3. 施工を外部委託せず、予算内で完結したい
課題解決事例は事実をもとに再編集しております。