工場・研究所 合成木材

資源保護と価格高騰により年々入手困難となるアピトン材
天然木材に替わる新素材が造船所の盤木に革命を起こす!

造船所 A社 造船部 T氏

背景

船舶の建造や修繕を行う現場では、「盤木」と呼ばれる角材が欠かせない。数十トンにも及ぶ船体の荷重に耐え得る強度が求められる盤木には、一般的に南洋材のアピトンなど、硬くて丈夫な木材が使用されている。しかし、海外における環境規制強化やウッドショックにより、日本国内で流通する原木の質が低下しているにも関わらず、価格は高騰の一途をたどっている。跳ね上がるコストに目を瞑り、ようやく調達できた盤木の一部に割れが生じていることもあった。造船所で修繕ドックの管理責任者を務めるT氏は、強度があり、安定供給が可能な素材を探していた。

▼現場イメージ写真
▼木製盤木(アピトン材)
課題

盤木は強度だけでなく加工の容易さも求められる・・・

天然木のアピトン材が盤木に使用されてきた最たる理由は、その圧倒的な「強度」です。長い歴史の中で何万トンもの船舶の重量を支えてきた実績があります。さらに強度がありながら、「軽量」であることも大きな魅力です。現場では盤木の交換や配置換えの機会も多く、重量の重い素材ではクレーンが必要になるなど作業員への負荷が大きく、作業効率にも影響します。しかし、軽量なアピトン材なら設置や撤去の際も大型の重機は不要です。
またアピトン材は加工が容易です。修繕の現場では、船体の形状に合わせて盤木の長さや形状を調整する必要があるため、切断などの加工が容易であることが重要です。このように強度と軽さ、加工の容易さを兼ね備えたアピトン材は、盤木として非常にバランスの取れた素材でした。しかし、近年では調達難や品質低下などの課題もあり、代替素材が求められていました。

良い素材を長く使い続けたい

盤木は使い捨てではなく、適切に保管して繰り返し使用する貴重な資材です。しかし木材であるがために、海水の影響による腐食や長期間の荷重の繰り返しで内部がスポンジ化し、圧縮強度が低下してしまい、取り換えが必要になります。また、風雨に晒されるとどうしても反りや割れが発生しやくすくなります。屋外に保管していた予備品がいざという時に現場では使い物にならないことも珍しくありません。さらに、調達難と品質低下に悩まされていたT氏は、「もうアピトンには頼らない、新しい答えが必要だ。」と痛感していました。

▼経年劣化により割れたアピトン材
▼反りが発生した未使用のアピトン材
課題のポイント
  • 1. 経年劣化による反りや割れで長期間の使用が困難
  • 2. 良質な木材の調達が難しくなった
  • 3. 木材同等の強度と軽さを持ち、加工しやすい素材が理想

課題解決事例は事実をもとに再編集しております。