流体搬送(液体、気体など)を伴う工場にお勤めなら、日々、沢山のバルブをご覧になられていることでしょうが、そうでない場合、バルブと呼ばれている装置を目にする機会は殆どないのではないでしょうか。
しかし、水道の蛇口(給水栓)やガスの元栓なら生活の一部といって良いほどに親しみ深い存在なのでは ? いえ、水道の蛇口やガスの元栓もその構造、目的ともにバルブの仲間なのですが、蛇口やガスの元栓のように配管の末端で流体の放出量を制御しているものを「栓」、配管の途中にあって流量の調整や流体の流れを止めるものを「バルブ」と呼んで区別しているのです。
もし本物のバルブを見たいと思われるなら、貴方の家の量水器(水道メーターのBOX)の蓋を開けてみてください。メーターの側に小さなバルブがあって、水漏れなどのメンテナンスに備えることができるようになっています。
そう、工場のプラント配管などに使われているバルブも量水器内のバルブや蛇口と同じ役割を担っているのですが、流体によって性質が異なり、流体制御の目的もまた様々なだけに、そこで使われるバルブの種類やサイズは数多くあります。
では、我々の生活に欠かせないバルブの一端を積水化学のプラスチックバルブとともに紹介させていただきます。
クエスチョンポイント
どう違う?金属バルブとプラスチックバルブ
日本で初めて金属バルブが製造されたのは、明治時代。近代化にともない、工場や水道、ガス配管で需要が高まりました。
金属バルブは耐熱性や強度に優れますが、耐食性、耐薬品性が低く、強い酸やアルカリを扱う化学工場ではバルブの腐食に悩まされてきました。
プラスチックバルブは、ボディ(弁箱)を硬質ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの樹脂で成型加工したもので、青銅や鋳物と比較して高い耐食性、耐薬品性、軽量化、長寿命化を実現したバルブです。
その特性を活かし、工業用プラント配管、食品や医療などの衛生面を重視する配管、半導体工場における超純水配管など、高度な機能を求められる分野でのニーズにも対応しています。
バルブの調節を人の手で行うバルブを手動バルブ(ダイヤフラムバルブ、ボールバルブ、バタフライバルブ、ゲートバルブ、ニードルバルブ、チャッキバルブなど)と呼び、そのバルブの調節を人の手によらず行えるようにしたものを自動バルブと呼んでいます。
自動バルブには、バルブに駆動部(アクチュエーター)を取り付けた他力式のもの(調節弁)と、流体そのものの力で作動する自力式のもの(調整弁)があり、他力式のバルブは駆動部のタイプにより調節弁と電磁弁に分けることができます。
酒樽の木栓。これもバルブの仲間なのかもしれませんが、ここでのバルブは配管の途中にあって流体制御を行っているもの。その範疇でいうなら、素材はプラスチックと金属の二つに大別することができます。
プラスチックバルブには、硬質ポリ塩化ビニル樹脂やポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(フッ素樹脂)など、金属バルブには、青銅、黄銅、鋳鉄などの素材が一般的に使われています。
ボディーの形状から玉形弁(globe valve)と呼ばれています。また、きっちりと流れを止めることからストップバルブと呼ばれることもあります。
弁棒で弁体を上下させて流量調整を行います。
・長所…流量調整が容易で、流れを止める性能が高い。
・短所…ハンドルを何回も回して流量調整を行うので急な開け閉めができず、バルブ内でS字状に流れるので圧力損失(流れが弱まる)が生じる。
・用途…メンテナンス時を除いて常時開で使われる場所など。
隔膜を意味するダイヤフラム(diaphragm)の言葉どおり、ゴムやフッ素樹脂などの柔らかい素材でできた膜をくっつけたり離したりすることで流路の開け閉めを行うバルブです。
その構造上、弁棒などの駆動部と流路がダイヤフラムで遮断されているので、流体の滞留部がほとんどなく、駆動部のグリスなどが流体に混ざることもありません。
・長所…洗浄性に優れ、駆動部からの漏れがない。
・短所…隔膜の性質で、流体の温度、圧力により使用が制限される。
・用途…半導体や医薬品、食品などのプラント分野で多く使われている。
孔が貫通したボールが弁体となっているバルブで、ハンドルを90度回転するだけで開け閉めができます。
・長所…急な開け閉めができ、ボールの孔の形を変えれば簡単に三方弁にできる。
・短所…流量調整には不向き。
・用途…中間開度で使用しない配管。
積水化学のボールバルブ
独自のボール流路断面採用により、流量調整を容易にしたプラスチックバルブで、200を超える高いレンジアビリティとイコール%の流量特性を実現しています。
面間が短くコンパクトな構造のプラスチックバルブで、狭い場所などでの配管に適しています。また、接続口が本体と一体で振動や熱伸縮がある場所でも使用できます。(過度な振動がある場所ではご注意ください)
面間が短くコンパクトな構造により、狭い場所などでの配管に適したプラスチックバルブで、用途管理がし易い6色のカラーハンドルを揃えています。
小さい操作トルクで安定した止水性を発揮するプラスチックバルブで、開度表示を備え、流量調整が可能です。
下流側のユニオンナットを外してもボールが飛び出さないロック機構付のプラスチックバルブで、流体方向のパターンはTポート、Lポートの2種類があります。
リング状の本体に円板状の弁体という特徴的な外観、構造を持っているのがバタフライバルブです。その外観、構造のとおり幅を取らないので狭い場所でも設置できます。
・長所…中間開度での流量調節ができ、急な開け閉めもできる。
・短所…高温、高圧の流体での使用には制約がある。
・用途…配管が入り組んでいる場所や建物の機械室など。
積水化学のバタフライバルブ
球面弁体とフランジの過締め防止構造により安定した止水性を発揮するプラスチックバルブで、配管にバルブを取り付けた状態でギヤ操作ハンドルの向きを左右逆転することもできます。
水道管など地中埋設配管用のバタフライバルブで、流量調整も可能なプラスチックバルブです。鋳鉄製バタフライバルブに比べると、1/10~1/15の重さしかなく施工性に優れています。
弁体と駆動部が流路の外に格納できる構造のため圧力損失が小さく、全開状態で流体を流すか、閉め切って流体を止めるかの目的で使用されています。
・長所…流体を勢いよく流すことができ、また、きっちりと止める性能に優れている。
・短所…ハンドルを何回も回して操作するため、急な開け閉めができず、ボールバルブと比べると背丈が高くなる。
・用途…地中埋設の水道管やプラントでのメンテナンス用など。
流量の微調整を目的とした玉形弁をニードルバルブと呼び、通常の玉形弁に比べてボディが細身で、弁体も細いという構造上の特徴があります。
・長所…流量調整が容易。
・短所…急な開け閉めができない。
・用途…流量の微調整が求められる場所など。
配管に逆流が生じた時、その背圧によって弁体が作動し、流れを食い止めることができるバルブのことで、逆止弁、チャッキ弁とも呼ばれています。
・長所…逆流の背圧により自動的に逆流を食い止めることができる。
・短所…逆流の背圧が低いと機能しないことがあり、スペック確認が必要。
・用途…ポンプの破損防止。
積水化学の逆止め弁
アングルタイプのため、水平、垂直、どちらに取り付けても確実に止水機能を発揮するプラスチックバルブで、キャップナットを外すだけで掃除などのメンテナンスが容易にできます。
ダイヤフラムバルブやバタフライバルブなどに取り付けた駆動部(アクチュエータ)を空気圧や電力、油圧などによって作動させる自動バルブです。
・特長…センサーからの信号に応じて頻繁に開度調整を行うことができ、より精密な流量調節ができる。
・用途…化学プラントや石油プラントなどプロセス制御が行われている現場。
積水化学の調節弁(コントロールバルブ)
耐圧性能に優れ、15~50Aは1.0MPa、65~100Aは0.7MPaまでの圧力に使用できる自動プラスチックバルブです。(15~50Aの逆作動は7K/10Kタイプの2種類を品揃え)
また、駆動部(アクチュエータ)も高強度の樹脂製のため、軽量・コンパクトで耐食性に優れています。
バルブ本体にアルマイト仕上げのトグル式ハイパワーアクチュエータを直接搭載するため、軽量・コンパクトで耐食性に優れた自動プラスチックバルブです。また、標準操作圧力を低減、単作動・復作動とも0.4MPaで作動が可能です。
アルマイト仕上げのトグル式ハイパワーアクチュエータのため、軽量・コンパクトアクチュエータ仕様で耐食性に優れた自動プラスチックバルブです。マウント方式なので、現場で手動弁から自動弁へ容易に変更できます。
樹脂製アクチュエータの採用により、軽量・コンパクト化。狭い設置スペースでも適用できる自動プラスチックバルブです。耐久開閉回数100万回以上の高耐久性。開閉頻度の高い用途に最適です。(流体・水による自社実験値であり、保証値ではありません)
樹脂塗装の筐体に耐久性の高い小型モータを搭載したアクチュエータのため、耐久性、耐食性に優れた電動プラスチックバルブです。緩動作タイプなので、流量調整が容易で、ウォーターハンマも軽減します。
アクチュエータ上部に大型の開度インジケータがあり、バルブの開閉状態が一目でわかる電動プラスチックバルブです。また、緩動作タイプなので、流量調整が容易で、ウォーターハンマーも軽減します。
開閉速度は標準タイプと高速型の2種があり、比較的速い開閉動作が必要な用途に適した電動プラスチックバルブです。発熱が大きいので開閉頻度が高い用途には適さないので注意が必要です。アクチュエータ下部で簡易的に開閉状態を確認でき、手動開閉も可能です。
三方ボールバルブの開閉および流量調節ができる高機能電動プラスチックバルブです。
アクチュエータ上部に大型の開度インジケータがあり、開閉状態が一目でわかる緩動作タイプの電動プラスチックバルブです。
小口径は高速開閉タイプで、速い開閉動作が必要な用途に適した電動プラスチックバルブです。中口径は緩動作タイプで、流量調整が容易で、ウォーターハンマーも軽減しています。
独自の流路断面のボールにより微小流量の調整が容易なバルブで、4~20mAの信号入力によりバルブ開度を自己制御する高機能電動プラスチックバルブです。
電磁弁は電磁石の働きで急速開閉できるバルブで、ON、OFどちらかの状態に制御する弁です。
・特長…配管の緊急遮断や緊急開放に適しています。
・用途…様々な工場をはじめ、全自動洗濯機やトイレの自動水栓などの工業製品に使われています。
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