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琵琶湖の東に湧く二つの名水[エスロンタイムズ104号]

環境省認定・平成の名水百選「堂来清水」(長浜市高山町)と「居醒の清水』(米原市醒井)

白龍神社の傍らに湧く堂来清水

 今回の「水のある旅」は琵琶湖の東、長浜市の山中に湧く「堂来清水」(どうらいしょうず)と米原市は醒ケ井宿に湧く「居醒の清水」(いさめのしみず)を訪ねる旅。ともに「平成の名水百選」(環境省、昨年六月)に選ばれた名水である。

 その「堂来清水」を訪ねてJR長浜駅に着いたのが今年一月半ばのこと。折しもこの冬一番の寒波がどっぷりと日本列島を包み込んだ日のことであった。

 まず駅舎の一階にある湖国バスの案内所に向かい、そこで堂来清水の最寄りのバス停である近江高山行きのバスの時刻を確かめると、「昼の便が出たばかりで、次の直行便は3時過ぎになる」とのこと。

 「浅井支所で乗り継ぎができるのでは?」

 そう尋ねると「乗り継ぎはできるが、このあとのバスで浅井支所まで行っても、そこで長浜発3時07分の直行便が来るのを待つだけだから」と気の毒そうな顔でおっしゃる。

 もとより事前に湖国バスの時刻表を調べておいたのだが、ネットでは今、教えてもらったことまでわからなかったのである。

 それならと堂来清水の後の楽しみにしていた長浜市の観光名所「黒壁スクエア」に向かい、ガラス工芸の館やオルゴールの館、さらには大手門通りや祝町通りに軒を連ねる店々をゆったり眺め、また、豊臣秀吉縁の古い町並みを見て歩いたところで、ようやく近江高山への直行バスが出る時間。

水のある旅 104

雪に埋もれた堂来清水

 このような楽しみ方も良いが、次は湖国バスの営業所に高山線のバスの時刻を確かめてと思いながら健康パークあざい行きのバスに乗り込み、長浜鉄砲鍛冶の村を抜け、浅井朝倉勢と織田徳川連合軍が激突した姉川へとかかるにつれて窓の外は真っ白な雪景色。

 乗り継ぎ地点のバス停(浅井支所前)に着いたところで大勢の中学生が乗ってきて、それまでガランとしていたバスの中は満員に。なるほど朝と夕方の通勤通学時間帯を中心に直行バスがあるのかと納得しつつ、バスの外を眺めると、そこには堂来清水までつづく草野川の流れ。

 その川筋と付かず離れず山を登る道は、古くからある街道のようで道端に家のそれほど途切れることなく軒並みがつづいていた。

 そのような道を走ること約一時間(浅井支所前から30分)、満員の学生達が一人降り二人降りて、ふたたびガランとしたバスの中に戻ったところで近江高山のバス停。

 草野川に架かる橋の袂でバスを降り、あとから降りてきた学生服の男の子に「堂来清水に行きたいのだが」と道を尋ねると、「白龍さんの御水ですね。行けるかな?」と、この先の雪深い道を心配して「どうかな?」と一緒に降りた女生徒に尋ねてくれた。

 「まだ大丈夫。この川沿いの道を登れば、道の傍に白龍神社さんの鳥居があって、堂来清水はその先です」

 その中学生達に礼を言って草野川の上流に向って右の土手沿いの道を少し登ったところで、後ろに駆ける足音。

 振り向くと先程の女の子が追ってきて、「あの先に白い小屋が連なって見えるでしょう。その先ですから」と遠くの山あいを指さしながら教えてくれた。

 その親切に勇気づけられ、高山町の家並みが途切れたところにある発電所の脇を過ぎ、雪が膝ほども積もる道を車の轍を頼りに登ること十五分。道の先に石の鳥居や灯籠が雪に埋もれた白龍神社の御社があった。

 その鳥居の脇を過ぎると、また白龍神社。こちらは小さな祠のようで、そのほとんどが雪に隠れている。

 さてその先が「堂来清水」のはずなのだが、そこは辺り一面の雪の原。どこにあるのかと思っていると、道端の腰よりも高い雪積みが一箇所、人の肩幅ほどに途切れていた。

 地元では五穀豊穰を願う「オコナイ(神事)」に使う糯米を洗うなど、神聖な水と崇められているだけに、この日も何方かが雪掻きをしてくださったのであろうと感謝しつつ、雪で凍った石段を降り、湧きだした清水が小さな池となった堂来清水の淵に立つ。

 手を浸し、その水を汲むと、これほどの雪の中、温かくさえ感じる。

 口に含むと、無味無臭。何のこだわりもない滋味が広がる。

 写真を撮らせてもらおうと石段を登り、堂来清水の池を眺めると、お地蔵様の温もりと水の温もり、そこだけが白い雪の中にぽっかりと口をあけていた。

水のある旅 104

堂来清水の手前にある奥の白龍神社と草野川

日本武尊縁の居醒の清水

 今回紹介するもう一つの湧水が同じ滋賀県の米原市醒井に湧く「居醒の清水」。

 JR米原駅から東海道本線に乗り継いで一つ目の醒ケ井駅で降りると、駅前の広場の向こうに東海道などとともに五街道の一つに数えられる中山道の道筋が顔を覗かせている。

 その中山道の道に足を踏み入れると、紅殻塗の古い家並が残る町中に地蔵川の石組みのせせらぎ。

 幾つかの軒並みごとに石段があって水辺に下りることができ、そこでは今も地元の人が果物や麦酒を冷やしたり漬物用の日野菜などを洗っているとのこと。

 夏の頃なら、その清冽な流れにバイカモの白い花が咲き、中山道を旅する人の疲れを癒してくれる。

 その地蔵川を十分ほど遡ると、伝教大師最澄縁の醒ケ井延命地蔵尊の御堂。

 秋ならば、さぞかし見事な紅葉をみせるのであろう地蔵堂のすぐ先が「居醒の清水」。

 池の石組みのあちらこちらから清水が湧きだしているのがみえる。

 地蔵川の流れはここから始まり、その先に水の流れはない。写真のような小さな泉の水がそのまま絶えざる流れとなっている。

 町中でありながら、これほどはっきりした源流をみるのは稀なことと思いつつ水を掬って咽を潤す。

 これもまた無味無臭の滋味。水温約14度の湧き水が心地よい。

 その源流の傍らに「居醒の清水」の名の元ともなった日本武尊の石像。

 その昔、伊吹山の荒ぶる神と戦った日本武尊が毒の霧にあたって意識朦朧となった時、この地の清水に身を浸して意識が戻ったと言い伝えられ、この物語を伝える古事記や日本書紀が「居醒水」と記している。

水のある旅 104

居醒の清水の傍にある日本武尊の像

 醒ケ井の地名もこの故事にちなむものなのだが、実はこの近くに日本武尊の居醒水との伝承を持つ湧き水がもう一箇所ある。

 それが「泉神社湧水」(米原市大清水)。

 醒ケ井から東海道本線で一駅東の近江長岡駅から伊吹山に向かい、その南麓にある泉神社の境内に湧く湧水で、昭和60年に当時の環境庁が選定した名水百選の一つである。

水のある旅 104

地蔵堂の前を流れる地蔵川

水のある旅 104

居醒の清水の湧水池

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